僕は案外、理屈っぽいところがある。
例えばどっかの有名な登山家がなぜ山に登るのかと聞かれたときに、
「そこに山があるからさ。」
なんて答えたらしいのだが、ふざけるな、と言いたい。
「あんたにとってはその言葉がすべてなのかもしれないけどさ、厳密に言えばそれじゃ答えになってないよね。ていうかさ、話膨らまないしさ、もっとほらキャッチボールしようよ。」
なんて思ってしまう。
むしろ声に出してしまう。
だから当然のように、山へ芝刈りに行かないおじいさんは本当のおじいさんではないし、ましてや川から流れてこない桃は本当の桃ではないと思う。
結局何を言いたいのかというと、洗濯中のおばあさんのもとに、どんぶらこ~って流れてきた桃は、もしかしたらおじいさんの仕業ではないかと。
山へ芝刈りに行くと見せかけて、実はどこかから連れてきた乳児を桃に詰め込み、そして上流から流す。
不妊治療という概念すら無かった時代だ。子供が欲しくても恵まれなかった二人。いつしかそんな夫婦の関係も乾いたものになってしまい、「子供がいれば・・・」という想いだけが大きくなってしまう。
そんな時、おじいさんは思いついた。
おばあさんにも不自然に思われずに子供を授かる方法を。
いっぽうその頃、鬼ヶ島では鬼たちが安全対策会議(通称ATK)を開いていた。
鬼ヶ島の古くからの言い伝えによると、近いうちに鬼たちの生活を脅かすような桃的な存在が現れるというので、対策を練っていたのだ。
会議はいたって紛糾していた。
アカ鬼
「節分の時にスーパーとかで売ってる豆ってあるじゃん。それにもれなく付いてくる鬼のお面は可愛すぎるよね。ていうかさ節分っていつだっけ。」
アオ鬼
「確かに我々のイメージが損なわれてい(以下略。)
―――
だめだ。
どうしても代理出産した高田・向井夫妻に辿り着かない。
始めるところが遠すぎた。
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