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2004/02/05

悲しみは雪のように

今日の昼下がり。


部屋の机の前に座り、予備校の分厚いテキストを広げたまま、僕はぼけーっと窓の外を眺めていた。


今日の札幌の天気は一日中、雪。
風はほとんど無風状態。
午後の静寂の中に次から次へと舞い降りる粉雪。


それにしてもよく降るもんだなぁ。
容赦なく吹き荒れる雪は嫌だが、ただただ深々と降る雪はなんともいいものだ。部屋の窓から垣間見える雪景色は、まるで美しい絵画を見ているようだった。なんか大袈裟だけど、ホントにそう思った。


僕はそのまま10分くらい、ぼけーっと雪景色を眺めていた。


しばらくすると、その静寂の風景の右端から1人のおばちゃんが歩いてきた。


買い物にでも行くのかな?


なんて思いながら、僕はぼんやりとそのおばちゃんを見ていた。
寒さのせいか、少し足早に歩くそのおばちゃん。僕の眺めていた風景のほぼ中央まで来たとき、そのおばちゃんは見事にすっ転んだ。


ププッ。


僕は思わず吹き出してしまった。
完璧な間の取り方、完璧な位置取り、そして絵に描いた様な転びっぷり。擬音で表せば「スッコーン」って感じで転んだ。明らかに一瞬だけ重力の概念とかを超えてた。


転んだ後のおばちゃんは驚くほど機敏に起き上がり、辺りをキョロキョロしている。周りには誰もいない。
おばちゃんは何事もなかった様に、再び足早に風景の左端へと消えていった。


だが僕は見ていた。2階の自分の部屋からすべてを見ていた。
おばちゃんの渾身のワンメイクを。


そして神秘的にすら感じられた雪模様が、輝きを失っていくのを感じた。一見変わらぬ風景は、もう二度と美しい絵画には見えなかった。


か、返せ!風景返せ!

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